あのキラカード

初めてステージの上に立つ作間くんを見た。

コロナや個人的な事情のせいで、私が作間くんを応援すると決めてから初めて作間くんに会うまでおよそ2年半かかった。

 

今まで色々な界隈のオタクをやってきたが、どの界隈でも私は一貫して現場至上主義だった。だから歴代の推したちに対して私は現場に行けないとモチベがなくなっていったし、現場がないのに推し続けるなんてことは私には到底ありえなかった。

 

ただ、作間くんは違った。

およそ2年半もの間現場に行けなくても(しかもその間には現場が普通にある時期も含まれている)私が作間くんを応援する気持ちは変わらなかった。それどころか、作間くんをどんどん好きになっていく日々だった。やむを得ない事情で現場に行けない時は本当に悔しかったけれど、それでも伝記やアイランドTV、YouTubeなどさまざまなコンテンツを通して作間くんを一目見ることができれば、その悔しさや悲しみは薄れていった。ただ、その度に次こそは会いたいと願う気持ちも強くなった。

 

少年たちに行けると決まった時、作間くんに会えるんだという感動や喜びは実は全くなかった。頭が真っ白になったという方が近い。ただただ、チケットが当たって、少年たちに行って、そこで初めて作間くんを見るという一連の流れが夢のように感じられた。今自分が見ているメールや、震える私が今乗っている電車も、何もかも現実のものではないようだった。

 

新橋演舞場に入って自分の席に着くまで、その感覚は変わらなかった。あと数分後にはブザーがなって、幕が上がって、ということを考えるだけで胸がいっぱいだった。今までは5分前のブザーがなっても本当に幕が上がるその時までリラックスしていられる性格だったが、今回はブザーがなってからずっと緊張していた。いよいよだ、初めて作間くんに会えるんだという喜びと、作間くんは絶対にかっこいいという期待、まだ始まってもいないのに終わってほしくないという無駄な我儘など色んな感情が私の頭をぐるぐると回っていた。

 

猪狩くんの痛烈な叫びによって少年たちは始まった。

 

作間くんだ。

 

私は、作間くんを初めて生で見た時自分はきっと泣いてしまうだろうと思っていた。でも実際は違った。舞台のライトに照らさらて艶やかに光る黒髪、私がいちばん好きな目元、高い鼻、すらっと伸びた手足、何もかもが鮮烈に私の目に飛び込んで、そのあまりの美しさに泣くことすら忘れた。大袈裟だと思うかもしれないが、本当にそうだった。今私の目の前に、私が会いたくて会いたくてたまらなかった、大好きな作間くんがいる。それはもちろん感動する出来事ではあったけれど、それよりも、今目の前に作間くんがいるという私にとってはとても現実とは思えない光景が眩しくて、ただ前を見るので精一杯だった。

 

作間くんが歌って、踊って、叫んで、走って。

キラキラと輝く作間くんの一瞬も見逃したくなかった。作間くん演技上手になったな、たくさん練習したんだろうな、とか、アドリブの時にこぼれる笑い方がいつもの作間くんと同じなことに気づくとか、舞台中に「ああ、私本当に作間くんが好きなんだな」と実感する瞬間がいくつもあって、そう実感する材料になるのは紛れもなく、私が現場に行けなくとも作間くんを応援してきた2年半の日々だった。

作間くんを応援してきて本当によかった。

 

作間くんに圧倒されっぱなしだったが、私がどうしても涙を堪えられない時があった。それは、ショータイムでローラースケートを履いた作間くんがステージに見えた時だった。

 

私が好きになったのはローラーを履いてパフォーマンスをする作間くんで、私はずっとその姿が見たかったんだと、止められない涙を拭きながら思った。もちろん、バラエティも演技も雑誌の撮影もラジオも、どんな仕事もこなす作間くんが大好きだ。その裏で計り知れない努力をしていることも容易に想像できるし、作間くんのそのような努力を無碍にするつもりは一切ない。でも、私がいちばん好きなのは、ステージの上でローラーを履いて、歌って踊って表現する作間くんなのだ。

 

そのいちばん好きな作間くんを目の当たりにした時、涙を堪えることはできなかった。どうしようもなく眩しく、鮮やかで、凛としていて、もう自分は何もできないと漠然と思った。ただ見ているだけなのにこちら側に自己の無力を感じさせる圧巻のパフォーマンスだった。ただかっこいいだけじゃない、私の大好きな作間くんそのものだった。

 

この日まで作間くんを応援してきてよかったと心の底から思った。そして、長い間会えなかった一ファンを一回の公演で満足させる力を持った作間くんが、「ステージに立ってパフォーマンスをする」という選択を今し続けてくれていることのありがたさやその覚悟を感じた。これからも変わらずに作間くんを応援していきたい。

これからも、私がすごす日々の中で作間くんがいちばん輝いている。未来のことは誰にもわからないが、作間くんが一層眩しい光を放つことは、分かってしまう。